2024年5月23日8:15

1981年にアメリカで誕生したFFPは、それから43年を経て大きな変貌を遂げている。FFPシリーズの第2回目は、FFPの生涯価値プログラム(永年プログラム)やアフターコロナのFFPのイノベーションについて紹介してみたい。

和田文明

【連載】進化を続ける世界のFFP
1、FFPの歴史
2、FFPのイノベーション
3、ユナイテッド航空のマイレージプラス・プレミアステータス・マッチ・チャレンジ
4、航空会社とFFPとエンベディドファイナンス
5、KLMオランダ航空のFFP

【PR】マイレージやポイントサービスの歴史やロイヤリティプログラムを記した2大レポート

レポート「ポイントカード・ロイヤリティマーケティング市場要覧」

ポイントカード・マーケティング市場要覧~Contents~

1、FFPの歴史

航空自由化に伴い固定客の確保から生まれたカスタマーロイヤルティプログラムのFFP(Frequent Flyers Program)は、コ・ブランディドのクレジットカードの発行などにより、FFPを媒介としやエンベデッド・ファイナンスを導入したほか、ホテルやレンタカーなどのFFPパートナーとの連携によるマルチポイントプログラムによる連合化を遂げて、今や航空会社のFFPにとどまらず、強大な連合プログラム化している。このFFPの連合プログラム化のバックボーンとなっているのがコ・ブランディドのクレジットカードで、あらゆる業種のマーチャント(カード加盟店)でのカード決済から得られるポイント特典をFFPの特典ポイントにコンバートすることができる。さらに、FFPのポイント特典も従来の無償航空券との交換にとどまらず、いろいろな商品やサービスの特典へと拡大している。

FFPの特典プログラムは、当初は搭乗距離に応じて、搭乗距離をマイル換算したマイル特典ポイントを提供するというシンプルなものであったが、航空運賃の多様化に伴い、エコノミークラスとファーストクラス、割引航空券とノーマルチケットなど航空チケット金額の差が大きくなり、航空チケットの価格的な要素を反映したマイル特典ポイントに変更されていった。これがFFPを大変複雑なものにしている。近年、FFPの特典プログラムは、搭乗距離ベースのDBP(Distance Based Program)から金額ベースのRBP(Revenue Based Program)にシフトする航空会社のFFPも出てきている。

航空会社のFFPと同様の問題を有するのがホテルチェーンのFSP(Frequent Stayers Program )である。従来、FSPは1滞在当たりの特典ポイントの提供であったが、宿泊料金を加味した特典ポイントの提供へとシフトしている。

FFPの魅力の1つが、航空会社が提供するエリートプログラムによる空港ラウンジサービスや優先搭乗、手荷物許容量の拡大、特別な割引や特典などの多彩な優待サービスの提供である。上得意客をターゲットにしたFFPのエリートプログラムが、FFPの魅力に大きく寄与していることは間違いない。

航空会社のFFPでは、多頻度利用の上得意客向けのエリートプログラムの成長・発展に伴い、エリートプログラムに付帯するバージョンで、顧客の生涯価値に根差した生涯プログラムの導入が拡大している。FFPで顧客の生涯価値に着目した永年プログラムは、日本のJALがJALマイレージバンクのエリートプログラムのサファイヤレベルの会員を対象に、JALのコ・ブランディドのクレジットカードのゴールドカードなどのプレミアムカード会員でもあることを条件に、クレジットカードの会員資格が維持される限り、“JALグローバルクラブ”のメンバーシップサービスを提供するという一種の“生涯(永年)プログラム”を提供している。ANAも同様の“ANAスーパーフライヤーズ”という“生涯(永年)プログラム”を提供している。こうしたFFPとクレジットカードとが連動した“生涯(永年)プログラム”は、海外では見受けられない。

筆者は、1998年からJALのFFPのエリートプログラムのサファイヤレベルやJGCプレミアレベルのメンバーシップを得て、JAL Visaゴールドカードと共に、JALの永年プログラムであるJALグローバルクラブに加入し、2008年以降は乏しいJALの搭乗実績にもかかわらず、JALグローバルクラブ(図10)のメンバーシップを今日までおよそ16年間も継続している。

(図10) JALグローバルクラブカード

一方、2010年頃から、海外の航空会社では、FFP会員の“生涯価値”に注目した永年プログラムの導入が始まっている。FFPのエリートプログラムは、通常単年度のプログラムとして設計されていて、こうしたエリートステータスは通常毎年取得し続けなければならない仕組みである。一方、航空会社の新たに提供を始めた“生涯価値”プログラムは、1年単位のフライト実績などの評価ではなく、FFPの加入当初からのトータルの実績に基づいてその貢献度を評価するプログラムで、日本以外の“生涯価値”プログラムはコ・ブランディドのクレジットカードとは必ずしも連動したものではない。JALが2024年4月からスタートさせた“JALライフステータスプログラム”は、FFPの“生涯価値”プログラムであるが、コ・ブランディドのクレジットカードと連動したプログラムでもある。

インターネットの普及に伴い、航空チケットの販売が従来の旅行代理店の店舗から航空会社や代理店のウェブサイトによるオンライン販売に大きくシフトしている。従来の航空会社のエンベデッド・ファイナンスは、コ・ブランディドのクレジットカードや旅行保険の販売などに限られていたが、航空チケットのオンライン化が新たなエンベデッド・ファイナンスを生み出している。

航空会社のエンベデッド・ファイナンスは、FFPが大きく貢献している。従来、FFPの会員証機能が搭載されていたのは、コ・ブランディドカードのクレジットに限られていたが、近年、ICカードの電子マネーやVisaやMastercardブランドのオープンループのオンラインプリペイドカードも登場している。これらも、航空会社のFFPを介した新たなエンベデッド・ファイナンスである。

アメリカのFFPの生涯価値プログラム(永年プログラム)

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