2024年12月4日8:40
ペイメントオーケストレーション(Payment Orchestration)とは、ペイメント(Payment、決済・送金)と複数のシステムやサービスが連携して動作することを意味するオーケストレーション(Orchestration)という2つの単語からなる新しい金融分野の造語で、音楽のオーケストラ(Orchestra)から派生した言葉である。オーケストラとは、管楽器、弦楽器、打楽器などで構成された大編成の楽団を指し、オーケストレーション(Orchestration)とは、さまざまな楽器(ピアノ、トランペット、バイオリン、ドラムなど)が一緒に調和して演奏するように指揮者が統制することを意味する。
ペイメント(決済、送金)におけるオーケストレーションにおける楽器とは、クレジットカードやデビットカードといった各種ペイメントカードのほか、電子財布、口座間決済のA2Aペイメント、デジタル通貨、BNPL(Buy Now Pay Later、後払い)など多様な支払い方法を指す。こうしたペイメントオーケストレーション(Payment Orchestration)のプラットフォームは、異なる決済方法をすべてスムーズに連携させ、まるでオーケストラの指揮者がすべての楽器を調和して演奏させるように動作させることを目指している。
こうしたペイメントオーケストレーション(Payment Orchestration)のプラットフォームは、統一プラットフォーム上に、多様な決済手段/プロバイダー/ペイメントチャネルを効率的に管理できる仕組みであり、複雑なペイメント設定を調和のとれたオーケストラに変えることができ、複数のペイメントサービスプロバイダー、ゲートウェイ、アクワイアラなどを1つのプラットフォームに統合し、ペイメントの処理と管理を効率化させ、個々のユーザーに対し最も支払いやすい方法を提供し、異なる地域や国の支払い規制を遵守させることを目指している。
近年、欧米を中心にペイメントオーケストレーターと呼ばれるいくつもペイメントサービスプロバイダーが登場し、カスタマーエクスペリエンス(CX)のレベルアップとペイメントコスト削減の両立を目指すE-コマースの小売り事業者をサポートし、円滑なペイメント処理サービスを提供している。
今回は、こうした欧米のペイメントオーケストレーション(Payment Orchestration)について、次の5つのタイトルに分けて紹介してみたい。
1、ペイメントオーケストレーション(Payment Orchestration)とは
2、欧米のペイメントオーケストレーション
3、海外のペイメントオーケストレーションプロバイダー(POP)
4、Chechout.com(イギリス)
5、Cellpoint Digital(イギリス)
<参考文献・資料>
・『Payments Come of Age』(ペイメントの成熟)
・The PaypersのHP
・Chechout.comのHP
・Cellpoint DigitalのHP
1,ペイメントオーケストレーション(Payment Orchestration)とは
連載の第1回目は、先ずペイメントオーケストレーション(Payment Orchestration)とは何かについてあらかじめ整理しておきたい。
ペイメントオーケストレーション(Payment Orchestration)とは、さまざまなペイメントサービスプロバイダー、アクワイアラ、銀行などの金融機関を1つの統一されたソフトウェア層に統合し、マネージメントするメカニズムを指す。これには、ペイメント認証、マルチPSP(Payment Service Provider)トランザクションルーティングなど、エンド・ツー・エンドのペイメントプロセス全体の実行と管理が含まれるほか、リスクマネージメントや顧客データの安全な保存、KYC(Know-Your-Customer、本人認証)、AML(Anti-Money-Laundering、マネーロンダリング対策)などのペイメントにおける手続きなどのプロセスも含まれる。
ペイメントオーケストレーションプロバイダー(Payment Orchestration Provider)は、VisaやMastercard、アメリカン・エキスプレス、JCB、CUP(China Union Pay、中国銀聯)、ダイナーズクラブなどのグローバルベースのクレッジットカードやデビットカードといったペイメントカードのほか、カナダの“Interac”、ドイツの“Giro Card”、フランスの“Carte Bancaire”、デンマークの“Dankort”などのローカルベースのペイメントカードに加え、多彩なAPMs(Alternative Payment Methods、代替決済方法)をクライアントに提供している。
クライアント企業が複数のプロセッサを利用し、APM(Alternative Payment Methods、代替決済方法)によってペイメントスタックの効率とセキュリティを強化しようとしている場合、POP(ペイメントオーケストレーションプラットフォーム)が理想的なソリューションになる可能性がある。ペイメントオーケストレーションプロバイダーの主要なクライアントには、国際線を有するLCC(Low Cost Carrier、格安航空)を含む航空会社のほか、オンライントラベル、オンラインショップなどがある。
APMs(Alternative Payment Methods、代替決済方法)とは、現金や主要な銀行が発行するクレジットカードやデビットカードといったペイメントカード以外のペイメントオプションを指す。これらのAPMs(代替決済方法)のペイメントオプションには、電子財布やダイレクトクレジット(クレジットトランスファー、口座振込)、ダイレクトデビット(口座振替)、ローカルペイメントカードスキーム、電子請求・支払い、BNPL(Buy Now Pay Later、後払い)などが含まれる。 APMs(Alternative Payment Methods、代替決済方法)は、キャッシュレス、カードレスの資金移動手段であり、一般的には現金やクレッジットカードやデビットカードといったペイメントカードを用いることなく資金(お金)にアクセスし、送金し、支払うことを可能にするテクノロジー主導のソリューションである。 APMs(Alternative Payment Methods、代替決済方法)は、現金やペイメントカードを用いることがなくても決済や送金ができる電子財布や、自分の銀行口座からビジネス関連の口座へ送金して取引を完了させるACH(Auto Clearing House)と銀行振込(クレジットトラスファー、ダイレクトクレジット)、商品を購入するために複数回の分割払いで取引を完了させることができるBNPL(Buy Now Pay Later、後払い)ソリューションなどが含まれる。 |
ペイメントオーケストレーションのプラットフォーム
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