2015年8月7日 7:00
株式会社ポイ探 代表取締役 菊地 崇仁
コーポレートカードや法人カード、ビジネスカードという言葉を聞いたことがあるだろうか? 会社からクレジットカードを配布されている場合もあり、会社の経費精算用のクレジットカードとなっている。
コーポレートカードや法人カード、ビジネスカードというのは、法人向けのクレジットカードという点で同じだが、会社の規模で名称が変わっている場合が多い。
一般的にコーポレートカードは大企業向けのカードだ。従業員が数千人以上の企業が申し込む場合はコーポレートカードになるだろう。法人カードやビジネスカードは中小企業や個人事業主向けとなっている(例外もある)。カード会社によっては法人カードとビジネスカードを分けている場合もあるが、ほぼ同じ扱いの会社が多い。
コーポレートカードは引落口座を法人口座だけでなく、個人口座にすることも可能の場合がある。例えば、コーポレートカードのゴールドカードを社員に配布し、年会費は会社負担、通常のショッピングは個人負担とすることも可能だ。社員は、個人口座からの引落しに設定している場合は、会社以外の日常使いに利用することもできる。
法人カードやビジネスカードは基本的には法人口座からとなるが、代表者個人口座を指定できる場合もある。そのため、個人事業主や事業を始めたばかりの法人などでも申し込めるカードもあるということだ。
例えば、クレディセゾンの場合は「UCコーポレートカード」が大企業向け、「UC法人カード」が中小企業向け、「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」が個人事業主向け、アメリカン・エキスプレスの場合は「アメリカン・エキスプレス・コーポレート・カード」が大企業向け、「アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード」が個人事業主や中小企業向けとなっている。
三井住友カードの場合は「三井住友コーポレートカード」が大企業向け、「三井住友ビジネスカード」が中小企業向け、JCBは「JCBコーポレートカード(法人口座設定)」と「JCBビジネスカード(カード使用者の個人口座設定)」が大企業向けと若干イレギュラーとなり、「JCB法人カード」が中小企業向けとなる。
なお、大企業向けのカードの場合は、Web申込みなどはできないため、以降で「法人カード」と記述しているものは中小企業または個人事業主向けのカードとする。
法人カードのメリットは?
法人カードを導入するメリットは何だろうか? 一般カードとの大きな違いは引き落とし口座に法人口座を指定できることだろう。直接会社の口座からの引落しになるため、社員は出張費や接待費などを立て替える必要がない。そのカードで支払うだけで、経費精算ができてしまう。また、営業で車を使う場合には法人カードのETCカードを使えば良い。
会社側としては、クレジットカードの年会費も経費として処理できるというのも大きなメリットだろう。ポイントも法人として貯めることも可能となり、経費削減にもつながる。
筆者も法人カード(ビジネスカード)を利用しているが、最大のメリットとしては社員も本会員と殆ど同じサービスが付帯する点だ。
例えば、法人ゴールドカードを保有している場合は、社員もゴールドカードの特典を、法人プラチナカードの場合は社員もプラチナカードの特典を利用できる。社員でもゴールドカードに付帯する空港ラウンジの利用やプラチナカードの場合はコンシェルジュサービスなども利用できるということだ。
そのため、法人カードを保有するのであれば、できるだけ最上位カードにしたほうが良いだろう。個人で支払うには高額な年会費でも、法人として経費にできるのは大きく、社員の福利厚生と割り切って考えると、年会費は安く感じられるはずだ。
例えば、プラチナカードのコンシェルジュサービスは、出張の手配などを全て任せることができる。秘書を雇うには月間数十万必要になるが、数万円の年会費の法人カードの場合は月間数千円とかんがえることができる。電話で出張手配や、お祝いなどの花の手配など全て任せられるのだから時間の節約にもなるだろう。
年会費が安い法人プラチナカードは?
まず挙げられるのが「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」だ。年会費は2万円(税抜)で追加カードは1枚3000円(税抜)となる。ただし、4枚までしか発行できないため、最大保有者は5人となるのが欠点だ。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードの最大の特徴は年会費優遇がある点だろう。年間200万円以上の利用があれば、翌年度の年会費が1万円(税抜)となる。
もちろんプラチナカードのためコンシェルジュサービスは利用可能となっている。年会費1万円(税抜)でコンシェルジュサービスを利用できるカードは他にない。また、法人ではなく代表者個人の審査となるため、設立間もない法人の場合でも申し込みができるというのもメリットだ。
次に紹介したいのが「MUFGカード・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」だ。こちらも同じく年会費は2万円(税抜)で追加カードは1枚3000円(税抜)。スペックはセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードと同じだが、年会費優遇はない。ただし、追加カードは98枚まで発行可能のため、数十人規模の企業であれば社員全員に福利厚生として持たせるということもできる。
審査は法人の場合は法人、個人事業主の場合は個人となるが、どちらも決算資料の提示が必要になる場合もあり、申込みのハードルは若干高い。
それでも、コンシェルジュサービスに加え、プラチナカードによくある、レストラン特典が利用できるのも特徴だ。2名以上でコース料理を予約すると1名分が無料になるサービスで、接待などにぜひ利用して欲しい。
プラチナカードではないが、都心に住んでいる個人事業主などは、年会費2万7000円(税抜)のダイナースクラブ ビジネスカードも良いだろう。追加カードは無料。最大の特徴は、ダイナースクラブ ビジネス・ラウンジを利用できる点だ。銀座にあるダイヤモンド経営者倶楽部が運営する「銀座サロン」を利用できる。打ち合わせや商談に利用できるため、オフィスを持たない個人事業主などでも、打ち合わせ場所を確保できる。MUFGカード・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードに付帯しているレストラン特典は「エグゼクティブ・ダイニング」として利用可能だ。
最後に、「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」「MUFGカード・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」はJALのマイルもためやすいという特徴がある。法人代表者または個人事業主でJALのマイルを貯めている場合は「JALのマイルを貯めるクレジットカード 第2回目」を参考にして欲しい。前回はビジネスカードではないが、基本的なスペックは同じとなっているため、JALのマイルを貯めるレートも同じとなる。
個人ではなかなか取得しにくいプラチナカードでも、法人として取得する場合は、年会費以上のメリットを感じられるだろう。