機械学習でカード決済の不正を検知するSiftの提供開始(マクニカネットワークス)

2019年9月17日8:00

マクニカネットワークスは、2019年9月13日に記者説明会を開催し、ECサイトやインターネット上の不正検知システムを提供するSift, Inc.と代理店契約を締結したと発表した。

一次代理店として最先端のサービスを提供
Siftは不正を防止する技術をグローバルで提供

2004年に設立したマクニカネットワークスは、米国やイスラエルなどから最先端の製品・ソリューションを見つけ出し、プロフェッショナルサービスと合わせて日本で提供する代理店ビジネスを展開している。マクニカネットワークス 第3営業統括部 統括部長 真野 大治郎氏は、「製品はすべて一次代理店として取り扱っており、メーカーの製品を理解してお客様にご提案しています」と説明する。たとえばペイメントセキュリティの分野では、Thales(タレス)とGemalto(ジェムアルト)が統合する前から両社のHSMや暗号化製品を提供しており、両社の統合後もビジネスを継続しているが、今回、決済の不正を防止するソリューションとしてSiftと代理店契約を行った。

Sift Science, Inc Head of strategic partnerships Alain Gendre氏(左)とマクニカネットワークス 第3営業統括部 統括部長 真野 大治郎氏(右)

国内ではキャッシュレス決済比率が年々伸びているが、その一方で非対面取引の不正使用が顕在化している。2018年1月~12月における国内で発行されたクレジットカードの不正利用被害は235億円だが、その多くが窃取されたカード情報等を不正に利用したなりすましによる被害であり、EC加盟店で数多く発生している。特に、デジタルコンテンツ、家電、オンライン電子マネー、チケットの不正が増加しており、ECモールも含めた不正使用金額はネットショップ不正利用金額全体の70%を占めるなど、不正対策は喫緊の課題だ。

そんな中、Siftは、ECサイトやインターネット上で、取引相手が信頼できるユーザかどうかを機械学習によって瞬時に識別し、不正を防止する技術をグローバルで提供している。2011年から機械学習に取り組んでおり、日々ユーザーの決済情報などから怪しいと思われる情報を検知可能だ。たとえば、クレジット取引セキュリティ対策協議会は『クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画―2019―』において、不正利用対策の具体的な方策として「本人認証」「券面認証」「属性・行動分析」「配送先情報」を挙げているが、Siftは「属性・行動分析」「配送先情報」における仕組みを提供している。

Shiftの概要

AirbnbやLinkedInといったグローバル企業で採用
1万6,000ポイントからスコアを分析

検知精度のスピードはシンプルなスコアによって、ユーザーの取引が怪しいのかを判断している。また、業界を横断した学習を即座に把握。その知見をさまざまな加盟店が共有することで、機械学習が賢くなっていく。また、利用する加盟店は、Airbnb(エアビーアンドビー)やLinkedIn(リンクトイン)といったグローバルでビジネスを展開する企業も多く、スコアに企業のフィードバックを与えて、さらに精度が向上する。

左から第3営業統括部第1営業部第2課 課長代理 恒川 雅俊氏と第2技術統括部第1技術部第2課 清宮政範氏

第3営業統括部第1営業部第2課 課長代理 恒川 雅俊氏は、「Siftには、数多くのトラフィックが流れ込んでいますが、1万6,000ポイントを見てスコアを分析しています」と話す。第2技術統括部第1技術部第2課 清宮政範氏は、「ユーザーごとに独自のスコアが判定されます」と述べる。すでにテスト導入した日本企業でも成果を実感しているそうだ。

不正行為の特徴を1万6,000以上におよぶシグナルから抽出し、それをスコアとしてユーザに戻し、ユーザのシステムとSiftをAPI連携させることで、不正取引を自動ブロック、自動許可もしくはマニュアルでレビューなど自動化されたワークフローによってオンライン詐欺対策が実現する
ワークフローの自動化

メルカリ、traveloka、TUROのSift導入の成果は?
2年で100社、10億円の売上を目指す

Sift Science, Inc Head of strategic partnerships Alain Gendre氏は、Siftのプラットフォームを使った企業の成果を紹介。例えばメルカリでは、数年前に米国やイギリスの市場進出に向けて、Siftを導入した。海外市場の課題は日本とは異なった不正の傾向があることだ。不正についてはマニュアルで対応しなければならなかったが、システム更新や人員の負荷が課題だった。そのため、Siftを導入したが、最初のインテグレーションは2週間で済み、不正使用やチャージバックを60%削減することに成功した。また、システム対応の自動化により、人員を増強せずに済んだという。

オンラインの旅行代理店であるインドネシアのtraveloka(トラベロカ)では、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム、シンガポールといったさまざまな国に進出している。事業の拡大により、システムで受け付けるオーダー数が増え、新種の不正が増えたという。そこでSiftを導入したが、自動的に受け入れることができるオーダー数が2倍に増加した。また、Siftを導入する以前は本人認証サービス「3-Dセキュア」への依存度が高かったが、それを扱う件数が3分の1に減少し、売り上げアップにつながった。

さらに、アメリカでカーシェアリングを提供するTURO(トゥロ)では、トランザクションを1件1件調べており、パスワードをリセットする作業に何日も要していたが、Siftの導入後は98%の不正削減、プロセスの自動化を実現したという。

価格はトランザクション当たり5~10円。マクニカネットワークスでは、2年で100社、10億円の売上を目標としている。

※掲載当初、siftの名称に誤りがございました。お詫びして修正させていただきます。

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