2026年2月17日8:00
和田 文明
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プロフィール キャッシュレス、電子マネー関連のジャーナリスト/ライター、主に欧米、アジアのセキュリティを含むキャッシュレス情報、カスタマーロイヤルティプログラム情報を取材 |
“ソウル・キャッシュレス見聞記2025”第2部の第7回目(最終回)は、韓国郵政のQRコードおよびバーコードを利用したスマートフォン決済サービスであるPost Payなど韓国のQRコード決済について紹介してみたい。今回のソウル訪問の目的の1つが、韓国郵政創業140年を記念して昨年に開催が予定されていた国際切手展PhilaKorea(写真A)の参観である。(写真B)は、ソウル市内の郵便局である。諸般の事情で開催が1年ずれ込んでPhilaKorea2024がPhilaKorea2025となり、金浦国際空港近くに昨年の11月に新しくオープンしたコンベンションセンターである“COEX Magok(マゴク)”で9月17日から21日までの5日間の韓国郵政(Korea Post)の主催のもと開催である。今回の国際切手展PhilaKorea2025(写真)には文献部門にアメリカの航空郵便に関する書籍を出品し、大銀賞(Large Silver)を獲得することができ、PhilaKorea2025のパルマレスパーティ(授賞式)にも参加した。
Index “ソウル・キャッシュレス見聞記2025”第1部 (1)韓国のデビットカード (2)韓国のハイブリッドカード(Hybrid Card) (3)韓国のハイブリッドコンビニ (4)韓国のコインレス(Coinless) (5)韓国のEasy Kiosk (6)韓国のIC乗車券 (7)韓国郵政のPost PayとZero Pay・韓国のデビットカード
“ソウル・キャッシュレス見聞記2025”第1部はこちら (1)韓国・ソウルへの旅 (2)韓国のキャッシュレスの現状について(上、下) (3)NAMANEとWOWPASS (4)Eximbay(エキシンベイ) (5)日系ビジネスホテルの東横インソウル永登浦に泊まって (6)韓国の観光アプリ
“Post Pay”
韓国郵政(Korea Post)は、中央銀行である韓国銀行などが推進する韓国におけるコインレス構想をさらに進めるために、郵便局の貯金口座と電子財布によるQRコード・バーコード決済のモバイルペイメントサービスとA2A(口座間)の送金サービスの“Post Pay”を2018年に導入している。日本郵政の“ゆうちょPay”のような韓国郵政(Korea Post)版の“Post Pay”(図)は7年前の2018年9月から小規模店舗向けのスマホQR・バーコード決済サービスとしてスタートし、韓国の高度なキャッシュレス社会において、特に小規模事業者や地方の金融包摂(Financial Incursion)を支援する重要な役割を担っているといわれている。日本郵便と同様、韓国の郵便局(Post Office)は韓国全土に広範な郵便局(Post Office)ネットワークを有しているため、銀行口座を持たない人々や、都市部から離れた地域に住む人々でもQRコードなどのデジタルペイメントを容易に便利に利用できる機会を提供し、韓国社会における金融サービスの利用格差を縮小させている。また、韓国銀行が中心となって進めるコインレス社会の取り組みとも連動し、硬貨の製造・流通・管理にかかる国家的なコスト削減にも寄与している。

“Post Pay”は、韓国郵政が提供する電子財布ベースのQRコードおよびバーコードを利用したスマートフォンペイメントサービスで、利用者の郵便局貯金口座から直接代金が引き落とされる仕組みで、オンラインデビットカード決済に近い。QRコード決済の“Post Pay”は、従来のクレジットカード決済に比べて加盟店手数料が低く設定されている点が特徴で、年間売上が一定額以下の小規模加盟店に対しては決済手数料を無料にするなどの優遇措置が講じられている。“Post Pay”の主な機能と特徴は(表)の通り。
(表)“Post Pay”の主な機能と特徴
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郵便局の貯金口座連携 |
・利用者の郵便局に開設された口座(郵便貯金口座)と直接紐付けられ、決済時に口座から即時引き落としが行われ、利用者はチャージの手間なく、口座残高の範囲内でモバイルペイメントや送金サービスを利用することができる |
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QRコード/バーコード決済 |
・マーチャント(加盟店)に設置されたQRコードをアプリで読み取る、またはアプリに表示されたバーコードを店舗側がスキャンすることで決済が完了する仕組み |
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非対面決済 |
・オンラインショッピングなどでの利用も可能 |
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低い手数料モデル |
・年間売上5億ウォン(約5,000万円)未満の小規模事業者向けに決済手数料を無料、または非常に低く設定することで、これまでクレジットカード導入に費用面で課題を抱えていたマーチャント(加盟店)でもモバルペイメントを受け入れやすくする ・キャッシュレス化が遅れがちだった地域や小規模店舗への普及を促進し、韓国の金融包摂(Financial Incursion)に貢献することができる |
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政府系機関による提供 |
・韓国郵政(Korea Post)という公共性の高い金融機関が提供しているため、高い信頼性と安定性が期待され、特に個人情報や金融情報を扱うペイメントサービスにおいて重要な要素である |
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多様なサービスとの連携 |
・決済機能だけでなく、将来的には郵便・物流サービスや貯蓄(貯金)、保険といった韓国郵政(Korea Post)が提供する他の金融サービスとの連携も視野に入れている |
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韓国における金融包摂の推進 |
・既存の郵便局の3,300もの全国的なネットワークと、利用者の郵便局の貯金口座を基盤とすることで、地域社会における金融包摂(Financial Incursion)を強化し、現金中心の決済からデジタル決済への移行を支援する役割を担っている ・全国的な3,300もの郵便局のネットワークと“Post Pay”のようなデジタルペイメントサービスを組み合わせることで、金融サービスへのアクセスが困難な地域や層に対しても、公平な金融サービスへのアクセスの提供が可能 ・韓国郵政の“Post Pay”は、その公共性と全国的なネットワークを活かし、特に地方や小規模経済におけるデジタル決済の普及に貢献 |
Korea PostのHP、2024 Korea Post Annual Report、他
韓国郵政(Korea Post)の電子財布によるモバイルペイメントソリューションの“Post Pay”の利用手順は、(表)のようにシンプルである。
(表)“Post Pay”の利用手順
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アプリのダウンロード |
・利用者は自分のスマートフォンに“Post Pay”アプリをダウンロー ド |
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郵便局口座の登録 |
・アプリ内で自身の郵便局の貯金口座情報を登録 |
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決済 |
・QRコード決済の場合はマーチャント(加盟店)に掲示されたQRコードを“Post Pay”アプリでスキャンし、支払い金額を入力して承認 ・バーコード決済の場合:は、アプリに表示されたバーコードを店舗のレジ側でスキャンしてもらう |
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口座引落 |
・決済が完了すると、オンラインデビットカードのように登録された韓国郵政(Korea Post)の郵便貯金口座から即座に支払い金額が引き落とされる口座引き落とし型のモバイルペイメントであり、クレジットカード決済とは異なる決済手数料体系である |
Korea PostのHP、2024 Korea Post Annual Report、他
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韓国では、Kakao PayやNaver Pay(N Pay)といった非常に強力で幅広い顧客層を有する民間企業の電子財布によるQRコードモバイルペイメントサービスが存在し、決済だけでなく、送金、ポイント(カスタマーロイヤルティプログラム)、ショッピング、公共料金支払いなど多様な機能を統合したスーパーアプリ化が進んでいる。韓国郵政の“Post Pay”はKakao PayやNaver Pay(N Pay)などと競合する中で、独自性をいかに打ち出していくかが肝要である。韓国郵政(Korea Post)の“Post Pay”は公共機関が提供する信頼性は強みであるが、Kakao PayやNaver Pay(N Pay)などと比べ、機能の豊富さやユーザーインターフェースの洗練度では課題を有しているといわれている。 |
“Post Pay”と“Zero Pay”
“Post Pay”は、韓国郵政(Korea Post)が提供するモバイル財布のモバイルペイメントサービスであり、“Zero Pay”(写真)は韓国政府とソウル市など地方自治体が推進する統一QRコード決済の性格を有するQRコードベースの決済システムである。“Post Pay”は“Zero Pay”と連携している多数の銀行やモバイル決済アプリの一つとして機能している。具体的には、Zero Payを利用できるアプリのリストには“Post Pay”が含まれており、ユーザーは“Post Pay”アプリを通じて“Zero Pay”のQRコード決済を行うことが可能である。この連携により、“Zero Pay”が提供する事業者側の手数料優遇などメリットを、“Post Pay”のユーザーが受けることができる。

“Zero Pay”は、2018年から韓国の小規模事業者支援とキャッシュレス決済促進を目的として、韓国政府およびソウル市など地方自治体が主導して導入されたQRコードベースのモバイルペイメントスキームである。“Zero Pay”は銀行口座直結型のQRコード決済システムを採用し、韓国金融決済院(KFTC: Korea Financial Telecommunications & Clearings Institute)が運営する共同金融網(銀行間ネットワーク)を活用しており、安定したペイメントが可能である。複数の銀行や韓国郵政(Korea Post)の“Post Pay”などモバイルペイメントアプリが“Zero Pay”と連携しており、利用者は普段使っている銀行アプリや連携モバイルペイメントアプリから“Zero Pay”決済を行うことができる。
キャッシュレス化が進む韓国で“Zero Pay”が導入された背景には、次のように2つの問題があった。と言われている。
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