2021年4月5日15:01
南海電鉄は、2021年4月3日から「Visaのタッチ決済」の実証実験を開始し、4月15日からQRコードで改札を通過できる「南海デジタルチケット第1弾(時差通勤応援きっぷ)」を発売する。4月2日には、報道陣に同取り組みを公開。Visaのタッチ決済で利用区間の運賃支払いは国内初、QRコードを利用した改札の入出場は南海電鉄として初の取り組みだ。
VisaカードやGoogle Payで改札通過が可能
実運用に向けては三重投資が課題に
南海電鉄が開始した実証実験では、16駅・32改札でVisaのタッチ決済の区間利用が可能だ。利用者は、Visaのタッチ決済対応カード(リップルマークの付いたVisaカード)、もしくはGoogle Pay対応のスマートフォンにより改札の入場、退場が可能になる。日本のGoogle Payでは、Visaのタッチ決済に対応可能なカードは限られるが、例えば今回アクワイアリングを担う三井住友カードの発行カードではVisa LINE Payプリペイドカード、スマートフォンアプリ「Vポイント」で利用可能だ。また、GoogleのWebサイトによると、国内のGoogle Payでは、Visaデビット(PayPay銀行)、Sony Bank WALLET(ソニー銀行)、りそなデビットカード等(りそなグループ)、三菱UFJ-VISAデビット(三菱UFJ銀行)、北國VISAデビットカード等(北國銀行)、Revolut スタンダード デビットカード等(Revoult)が利用できるようだ。
また、南海アプリ上で「南海デジタルチケット」を事前購入し、スマートフォンにQR コードを表示して入場時と出場時に改札機へかざすことにより改札通過を可能にする仕組みも運用を行う。こちらは、4月15日から発売を開始するが、5 月、6 月、7 月に利用可能だ。
実証実験では、2つの改札の仕組みを採用している。1 つは高見沢サイバネティックス製の電動ゲートだ。主にビルの入退ゲートで使われているが、「鉄道業界では初めて採用させていただいています」と、南海電鉄 鉄道営業本部 統括部 課長補佐 藤原隆行氏は話す。
また、日本信号のポール型読み取り機とオムロン製の改札機を連動させた仕組みも採用。南海電鉄 鉄道営業本部 統括部 課長 辻本教秋氏は「8か月間の実証実験を通じて実運用が可能かどうか見極めたい」としている。QUADRACが管理するクラウドセンターとの通信は携帯回線網で行うが、「通信環境が良くないところでも実用可能かを検証したいです」と辻本氏は話す。
なお、仮に実証実験後、Visaのタッチ決済やQRコードの仕組みを改札に採用した場合、従来の交通系ICカードの仕組みと合わせると三重投資となるが、「今後の社会情勢を見据えて、どういったシステムが求められるのかを決定したうえで考えたいです」と辻本氏は述べた。
なお、南海電鉄では、中国のモバイル決済サービス「Alipay」と「WeChat Pay」の支払いを一部の駅窓口で導入しているが、QRコードによる利用区間での支払いに関しては具体的な検討は行っていないそうだ。
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